2012年2月20日月曜日
2012年2月20日月曜日
リエのこと 作詞曲/及川恒平
リエのこと
【2012年記】
この歌について書いたのは2002年だから10年も前のことになる。
読み返してみると、今のぼくと多少考えのちがいがある。
その文章の着地に、ポピュラー音楽と遠い場所に、そのころ作ったCDアルバム「しずかなまつり」を置いているが、今の自分ならそうした書き方はしない。
実際「リエのこと」もCD「しずかなまつり」の中のものも、同じライブで並べて歌っているし、
違和感などない。
思えば2002年からの10年の間に、ソロ、グループを含めて、
「ほしのはだ」「はじまりはじまる」「おとのば」「地下書店」の4枚のCDアルバムを作った。
そして、ライブハウスを中心に歌いだしたのもその後なのだ。
当時の気分は観念的には自分では解るが、ライブという現場では決定打にならないし、
むしろうしろにおいやることで、ライブは進んでいった。
現場というものはこれからもきっとそうなのだろう。
ぼくが音楽ジャンルをどう分析したところで、そして自分の資質をどう見積もったところで、
ライブミュージシャンは聴き手とともに時間を作っていく。
すくなくともその日の、ベストパフォーマンスを目指して。
ぼくが、これを実感してライブでそれを表そうと感じだしたとき、
むしろライブハウスで歌う事へのこだわりは消えていった。
なぜなら、たとえばフォーク酒場なら、誰がきめたかフォークというジャンルの音楽に、
一種の優越感を持っているらしいことに気がつきだしたというのもある。
あるときフォークなんて、といわれていた時代があるから、その反動もあるのだろう。
フォークシンガーとよばれる立場で言えば、それを繰り返してはいけないのだ。
ぼくらが得た市民権を価値あるものにするなら、みんな同じだと識ることだ。
あるじきのように、もう負け犬の遠吠えと言われることもないのだから、
ジャンルというものを忘れて、いろいろな音楽を一つのかごに放り込み、シャッフルしてみたい。
「昭和歌謡」というくくりがある。おくればせながら、
ぼくにはフォークソングは、どのようにあらがったところでその一部分だったとしみじみ思う。
そんなわけで最近は機会があれば「昭和歌謡特集」ライブをしている。
しかし、忘れていないつもりなのは、歌詞と詩の間にある、ほぼ人工的と言ってもいい溝だ。
人工的なのだから、必ず人の手で埋めることができると、思っている。
★
【2002年記》
時代の風俗を書いてみたかった。
歌といえばかなり直接的な意味でラブソングであるのが当然という風潮でもあった。
この感覚は今でも相変わらずの気もするけれど…。そんな流れに乗らざるをえなかったにしても、
当時、ほんのちょっとだが聞かれていた歌い手として、相応の真実味もまた欲しかった。
だから自分の体験や実際に見聞きしたことをアレンジして書いている。
この場合の『真実味』とはかなり一方的で、そしていい加減なものでしかないのだけれど…
今だったら言えるがポピュラー音楽を作るということは、この意識がまず必要なのだ。
つまりは、とりたててこんな発言をイマゴロしなければならないなんて、失格だ。
ぼくが作詞家として成功しなかったわけだ。こんなのジョーシキでしょ!
ただし正直な感想であるし、当時ぼくは流行歌を作りたいとそれなりに真剣だったのも本当である。
作詞家のはしくれとして、歩み始めていた時期である。
流行歌の制作依頼もそれなりに受けつつの、自分のレコードアルバムづくりだったのだ。
フォークがポピュラー音楽としての地位を築きつつあった1970年代の後半を迎えていた。
ぼくの頭の中にはシャンソン・ド・フランセがあった。
経験主義でしかないとしてシュールレアリストからはげしく揶揄されつつ、
ついにはブリジットフォンティーヌのような歌手まて飲み込んでゆく、太く、そして強靭な流れ。
そのような時代が、少なくとも数年後にはこの日本にもやってくるのだと信じていたふしがある。
ほそぼそとではあるにしても、自分の言葉を研磨するこが作詞者としてなすべき、
ほぼすべてだと思っていたのだ。
この勘違いも、もしぼくが素質とし、ポピュラリティをもっていたらなんでもなかったのだろう。
それならば、当時の立場を利用して、そこそこの流行歌を作ってもいたのだろう。
残念ながら、ぼくにはそれがなかった。
ないのだから、積極的に作り出すしか、いきのこるすべもまたなかった。ぼくはできなかった…
弁解めくが、この時代をリードし、染めていくポピュラリティという代物は、
誰でも持っているとは思えない。
さらには『運』という透明人間のいたずらなしには成り立たないものでもあるだろう。
つまり僕は、流行に携わっていくには、その意味であまりにも平凡な表現者でしかなかった、
というわけだ。
しかし、今のぼくには、それを反省している時間的余裕も、素質もあるとは思えない。
その結果のひとつが、今度のCD「しずかなまつり」だということだ。
(前奏) D / F#m7 Em7 / A7 G / F#m7 C / A7
D / F#m7 Em7 /A7 G / F#m7 C / A7
リエは白 い つば 広帽子 を 膝 に 載せ て い る
D / F#m7 Em7 / A7 G / Gdim D / D7
夕べティスコで ロックシンガー に 貰ったん だっ て 言 う
D / Δ7 D6 /Δ7 Em7 /F#aug F#m7 / A7
飾り の 羽根 が とても 綺麗ね と
D / Δ7 D6 / Δ7 Em7 / A7
今日 は 二人 で お茶を 飲んで
D / F#m7 Em7 / A7 G / F#m7 C / A7
る
D / F#m7 Em7 / A7 G / F#m7 C / A7
リエの 嘘 は ひど く下手だ から 誰 にも分かっ て しま う
D / F#m7 Em7 / A7 G / Gdim D / D7
恋をなくして 泣いていたのに「平気で す」 って 言 う
D / Δ7 D6 / Δ7 Em7 / F#aug F#m7/A7
約束の 時 間 とうに 過ぎて か ら
D / Δ7 D6 / Δ7 Em7 / A7
言い 訳のキッ ス 持って 来たの
D / F#m7 Em7 / A7 G / F#m7 C / A7
さ
D / F#m7 Em7 / A7 G / F#m7 C / A7
リエは自 分の 本当の名前 を 言っ た 事 が な い
D / F#m7 Em7 / A7 G / Gdim D / D7
お嫁に行くまで 取ってっておくんだ と 恥し そう に 言 う
D / Δ7 D6 / Δ7 Em7 /F#aug F#m7 / A7
暗く なった ら どこか のディスコ に
D / Δ7 D6 /Δ7 Em7 / A7
夢中 で 踊 る リエが いるだ
D / F#m7 Em7 / A7 G / F#m7 C / A7 × anytime F.O.
ろう